Vol.105 2018/1/1更新

3ヵ月毎に年4回発行している車内報「一期一会」は、お客様とフジタクシーグループを結ぶコミュニケーションメディアです。 一生に一度かもしれないお客様との出会いを大切にしたい、という私たちの思いができる限り伝わればと思っています。タクシーをご利用の際は、ぜひお持ち下さいませ。

連載コラム

ハーモニックトライアングル11

「運転手さんのあいさつがとっても素敵で気分が良かったよ。ありがとう!」

フジタクシーをご利用いただくお客様からこのような感謝のお言葉をいただくと、必ず彼の顔を思い出してしまう。フジタクシー研修センターのY氏のことだ。フジタクシーグループに入社する新入乗務員の研修指導を担当する熱血指導員だ。

6年間の乗務職を経て、その優良接客を評価され研修指導員に抜擢された異色の指導員だ。乗務員時代の彼の接客は、グループの乗務員教育ビデオでモデルとして紹介され、他の見本となっている。 年齢も性格も経験も違う、実に様々な人たちがフジタクシーグループに入社してくる。彼はその一人ひとりの心の中に、フジタクシー乗務員としての接客の基本精神と地理、その他の必要な知識を植えこんでいくのだ。

「特別なことは何もない。お客様のことを想い接客することだ。降りられる時、お客様に心から  ありがとう  と言ってもらえる接客が本当に良い接客なのだ」 接客に対しての彼の信条ともいえる言葉が、乗務員の心の中にズシンと入り込んでくる。

タクシードライバーの接客はほとんどがマンツーマン。なので、よりお客様の心に寄り添った接客が大事なのだと言う。 研修期間中に、彼の熱血指導を受けた乗務員たちは、研修終了後も彼を慕い、度々訪ねて来ると言う。

昨年の12月末のことである。そんな彼の体に突然、異変が起きた。腹部に激痛が走ったのだ。耐えきれずに病院に行くと、医者の診断は  胃がん  だった。

何回かの健康診断で、指摘は受けていたと言う。真面目で我慢強い彼のことだ。痛みを堪えて研修指導にあたっていたのだろう。周囲の誰もが、彼がそんな大病を患っていたとは知らなかった。

だが、その後も彼の研修に対する熱意は衰えることはなかった。3ヵ月間の入院を経て、今年の2月に研修センターに復帰し、5月の定年満了の日までその職務を全うしたのである。

今は、彼の熱血指導を受けて育った後輩の職員が、彼の後を継いで乗務員の研修指導にあたっている。

Y氏、病気なんかに負けるな!と、心から願っている。

ご乗車ありがとうございます。